カンボジアに来て1年半。今は可能性しかありません

小室絢人

グローバルビジネスディビジョン
小室絢人(こむろ・けんと)1992年、埼玉県鴻巣市生まれ。慶應義塾大学卒業後、三菱東京UFJ銀行(現:三菱UFJ銀行)に就職。2017年アトムに入社し、2018年5月からカンボジアへ赴任。現在は社長直下の海外新規事業開発に従事。夢は、100年後の若者から尊敬されるビジネスを創り出すこと。趣味は、見知らぬ土地への一人旅。

「自分の力で生きている」という実感

カンボジアで働くようになって、1年半が経ちました。A-TOMのカンボジア事業は、現在、ひとりで担当しています。入社した時は、まさか、カンボジアで働くことになるとは思ってもいませんでした。

僕は大学を卒業後、大手銀行に就職しました。法人営業の部署に配属され、毎日ビシッとスーツを着て、いろいろな企業を回りました。当時の僕は親の期待に応え、優等生でいることに居心地の良さを感じていたのです。しかし、転機が訪れたのは社会人2年目。友人と尾道へ旅行に出かけ、そこでたまたまA-TOMの代表である青井茂さんに出会いました。それから急速に茂さんと親しくなり、知り合って1年後、「一緒にA-TOMで働かないか」と誘われました。僕は迷わず、「よろしくお願いします!」と返事しました。給料や待遇なんてどうでもよく、ただ、「この人と一緒に働きたい」と思ったからです。

しばらくの間はA-TOMの東京本社で働きましたが、やがて、ひょんなことからカンボジアへ赴任することになりました。A-TOMが行ってきた投資事業を拡大するのが目的です。

「誰か、カンボジアへ行ってくれないか」。僕はその言葉を聞いて、真っ先に手をあげました。

カンボジアはいま、急激に成長しています。中国の大財閥もどんどん進出していて、ちょっとぼんやりしただけでチャンスを失ってしまうこともあります。そんな毎日は緊張とプレッシャーの連続で、こっちへきたばかりの頃は、悔しさや不甲斐なさに涙をこぼすこともありました。それでもいま、確実に言えるのは、「自分の力で生きている」という手応えがあること。そして、東京にいた時とは比較にならないくらいのスピードで、自分が成長している実感があることです。

銀行員時代、僕は自分の意見をきちんと述べているつもりでも、いつも、誰かの顔色を無意識にうかがっていました。支社長が「A」といえば、僕は「A」のために頑張る。それが自分のミッションだったからです。でも今は、自分が「B」と思ったら、そして、それがとことん考え抜いた末の結論なら、僕は誰が相手でも自信を持って「B」と言えます。いま振り返れば、かつての僕は、自分の頭を使って考えることをサボっていたと思うのです。誰かの期待に応えることは得意だったけれど、ゼロから1を生み出した経験はあまりなくて、無意識に避けていた。でもカンボジアでは、自分の頭をフル回転させ、手足を動かし続けなければ、何ひとつ、成し遂げることはできません。だからこそ、僕はいま、「生きている」「成長している」という実感があるのです。

地元の若者たちと手を組んで

この国へ来た当初は、A-TOMの利益になるビジネスを興したいと思っていました。でもこの国の人たちと関わり、特に若い人たちと話す機会が多くなるにつれて、少しずつ考えが変わってきました。カンボジアは東南アジアのなかでも優れた農業国なのに、農産物を自分たちの力で流通させる仕組みを持っていません。そのため、欧米や中国、それから、周辺のタイやベトナムから搾取され続けています。こうした事態を改善し、農家の人たちがきちんと正当な利益を得られるよう、インフラを整えたいと思うようになりました。そのため今は、発想力と行動力はあっても資金がない、現地の若者たちと手を組んで何か形に残ることをしたいと、アイデアを膨らませている真っ最中です。新しいパートナーを見つけるため、ガタガタ道を数時間も車に揺られ、遠方の農場や工場を訪れることもあります。のんびりやなカンボジア人と時間感覚が合わず、イライラさせられることもあります。この国特有の政治文化に悩まされ、あちこちの省庁をたらい回しにされることもあります。正直なところ、何もかも日本にいたときとは勝手が違って、スムーズに進まないことばかりだけど、苦労すればするほど、僕は挑戦心に火がつくような感じがします。自分の意思で、カンボジアで働くことを選んだから。20代半ばという貴重な時間、可能性しかないこの国でチャレンジさせてもらっていることを、とても幸せだと思っています。

地図を読み、仲間を率いるリーダーに

A-TOMは、自分から動けば何かを返してくれる会社です。淡々と働きたい人には、大企業の方が向いているかもしれない。でも、ガッツがあって、自分で道を切り開きたい人には最高にエキサイティングな職場です。10年後、僕はまだカンボジアにいるのか、それとも他の国にいるのかわからないけれど、とにかくA-TOM の核になるようなビジネスを興したい。もちろん、僕ひとりでできることではなく、同じゴールを見据え、一緒に努力してくれる仲間も必要です。そういう仲間とともに、僕は、率先してゴールに突っ込むリーダーになりたい。

「一体、リーダーは何の地図を見て、そっちに進んでいるの」とみんなが不思議に思っても、「いや、この先には必ず何かがある」と信じて、みんなを引っ張っていける人材こそ、リーダーだと思います。僕は、そんなリーダーになりたい。そのために、僕はこれからもこの国で挑戦を続けます。