INFO2021.12.1

ソノ アイダ#新有楽町 ARTISTS STUDIO#01 第1期滞在制作展示


株式会社アトムはA-TOM ART ACTION*の一環として、2021年12月より三菱地所の新有楽町ビル1階の空き店舗を空間メディアとして活用するアートプロジェクト「ソノアイダ#新有楽町」を開催いたします。
その中の企画「ARTISTS STUDIO」では、アーティストが自分の制作環境を移設し、約1ヶ月半の期間作品を制作しながらアーティストの営みを展示、作品販売も行います。第1期のアーティストは藤元明と森靖。
スタジオプログラムのアーティストは期間ごとに入れ替り、常にアーティストのいる風景を提供します。加えて企画展覧会や現代美術への関わりを体験し学ぶ「OUT SCHOOL」なども並走しながら、新たなアートコミュニティの形成を目指します。

*A-TOM ART ACTION(アトムアートアクション):アートの力で不動産に新たな価値転換を図り、都市の活性化に挑戦する活動

■ソノ アイダ#新有楽町 Statement
アートの本質は作品の審美的部分の共有という限定的なものではない。アートは作品を産み出すアーティストの価値観、展示のステイタス、それらを社会化する批評、コレクターによる経済化など、多様に関わる様々な要素によって成立している。「ソノ アイダ#新有楽町」は、それらの根幹にアーティストの作品制作の場があると定義し、都心の隙間にアーティストの営みの場を移設することで、アートに関わる人々が交流をできる空間を都心に作り上げる試みである。「ソノ アイダ#新有楽町」のこの在り方は、ヨーゼフ・ボイスがかつて示した、芸術を、特権的な位置づけから奪還し再び日常社会へ還元する活動であったり、グラフィティやパブリックアートなど都市を強制的に上書きする行為とは質感が異なる。アーティストが常に滞在する作品制作の場を既存都市の隙間(=アイダ)に開き、都市と美術の交流の場を新たに生み出すことで、本プロジェクトは作品鑑賞に留まらない都市と美術の対話的関係性を提示する。そして交流に基づいた都市と美術の関係性は、対立や俯瞰を前提としない新たなナラティブをアート及び社会にもたらすであろうと考える。  一方「ソノ アイダ#新有楽町」は、都市という価値観そのものに対する挑戦でもある。都市コンテンツはこれまでマーケティング型大衆消費とグローバリゼーションによる均質化が繰り返され、経済合理性という重力から抜け出すことができなかった。本企画は、アーティスト、主宰者、地権者がそれぞれに新しい価値観を持ち寄り「空き物件の活用」を超える複合的な企画が実現した。この事実は一時的・局所的現象ではなく、時代の要請と現実社会の”ソノ アイダ”を示すものでもあり、新たな都市への提案と言えるのではないだろうか。
2021年12月 藤元 明

■Exhibiton | Proximate Horizons 近しい遠景
会期:2022年1月27日(金)- 2022年1月30日(日)
営業時間: 13:00-20:00
会場:ソノ アイダ #新有楽町
住所:東京都千代田区有楽町 1-12-1 新有楽町ビル1階 北側112区画
キュレーション:丹原健翔(アマトリウム株式会社)
主催:株式会社アトム(A-TOM Co., LTD.)
企画:ソノ アイダ実行委員会
協力:三菱地所
機材協力:BLACK+DECKER / DEWALT / LENOX / IRWIN

■Artist Profile

藤元 明 AKIRA FUJIMOTO
1975年東京生まれ。東京藝術大学美術学部大学院デザイン専攻修了。FABRICA(イタリア)に在籍後、東京藝術大学先端芸術表現科助手を経てアーティストとして国内外で活動。社会現象や環境問題をモチーフとして、様々なメディアで作品展示やアートプロジェクトを展開。主な活動に「NEW RECYCLE®」「2021」、原爆や戦争など社会的喪失の記憶をテーマにした国際プロジェクト「FUTURE MEMORY」など。主な展覧会に「ソノ アイダ#COVID-19」「TOKYO 2021」「陸の海ごみ」「海ごみのあと」。2015年より都市の余白を活用する「ソノ アイダ」を主宰。
https://www.instagram.com/akira_fujimoto/

森 靖 OSAMU MORI
1983年愛知県岡崎市生まれ。東京藝術大学大学院彫刻専攻を修了。 2010年山本現代で初個展「Can’t Help Falling in Love」を開催。 横浜トリエンナーレ「OUR MAGIC HOUR ー世界は どこまで知ることができるか?ー」に出展。 その後、一つの巨大な彫刻作品の制作に取り掛かり、10年ぶりとなる個展「Ba de ya」で発表。 素材のもつ力を最大限に活かしながら彫刻造形の限界に挑み続ける。
Photo by Daisuke Omori
https://www.instagram.com/osamu_mori_/

丹原健翔
キュレーター、作家。ハーバード大学美術史卒業後、帰国し展覧会企画やアーティストマネジメントに携わる。アートスペース新大久保UGO立ち上げ。主な展覧会に、森山大道展(19年、kudan house)、未来と芸術展(19年、森美術館、作家として)、ENCOUNTERS(20年、ANB Tokyo)、Dream Play Sequence (21年、富山県美術館内レストラン「BiBiBi&JURURi」)など。

■Statement
いつしか、ソーシャルという謳い文句(-メディア、-ディスタンス)は我々とモノの距離を考えさせるものに変容していた。現物鑑賞が重んじられてきた美術界においても、画面越しに美術作品の有り様をイメージする想像力が一種のリテラシーとして求められるようになり、昨今のソーシャル(=社会的)な距離の単一化は皮肉にもそれぞれの単位の限界を示すものになっている。
作家の藤元明と森靖は制作の中で意識する大きさを”単位”と呼ぶ。彼らのいう単位とは、単なる規模の尺を指すのではなく、スケールとディテールの関係性、ひいては、鑑賞者と作品の間に生じるシームレスな距離感をも包括するものとして、作品を取り巻く空気までを定義する。鑑賞体験そのものに依存する単位の表現は、結果として全体と一部の入子構造を鑑賞にもたらす。
本展は、2ヶ月近くにわたって同じ場で作品制作を行ってきた二人の異なる作家の、それぞれのスケールとディテールが両方向に漸近する極限(=遠景)を一つの成果としてみなし、その地平面を二人展という形で浮かび上がらせようとする試みである。本展を通し、「ソノ アイダ#新有楽町」が現代社会において取り組む、単一化のできない美術実践の幅を感じてもらえることが、本スペースのこけら落としとしての願いである。
丹原健翔

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