INFO2022.5.26

コートヤードHIROO NOZOMI SUZUKI 「LIGHT OF OTHER DAYS」開催


この度、コートヤードHIROO ガロウにて鈴木のぞみ『LIGHT OF OTHER DAYS』を開催いたします。肉眼で見える画像を顕像というのに対し、現像するまでは見えない(見えにくい)画像を潜像といいます。鈴木は日常の事物にこの潜像を見出し、その〈事物の記憶〉を辿りながら作品を制作しています。
リノベーションによりその痕跡は多くありませんが、コートヤードHIROOもまた、3階ガロウへ向かう階段、会場の低い梁に昭和の建物の記憶をとどめている場所です。未来について多く語られる中、今の世界の潜像が未来にどのように現像されるのか、ありし日の光景が悲哀な傷痕として映し出されことがないよう願い、この場所で思いを巡らせながらご高覧ください。
― コートヤードHIROO

自身初となる作品集『LIGHT OF OTHER DAYS』が刊行され、コートヤード HIROO ガロウにて、同名の展覧会『LIGHT OF OTHER DAYS』を開催し、作品集を先行販売いたします。

作品集のタイトルは、ベルファスト出身のSF作家ボブ・ショウによる短編作品「Light of Other Days(去りにし日々の光)」から引用されています。物語に登場する空想上の発明品であるスローガラスは、過去の光を遅れて届ける魔法のガラスであり、それ自体が写真そのもののような遅延物質です。

これまで、窓や鏡、レンズなどの事物を通して眺められてきたであろう光景をリサーチし、事物自体に写真として直接定着することで、その土地の文化や歴史、個人の記憶を可視化してきました。事物に感光性を与え、事物に宿る潜像のような記憶を写真によって顕在化することで、それぞれの事物が孕む小さな物語をスローガラスのようにうつしだします。

本展は、以前よりモチーフとしてきた窓や鏡に加え、虫眼鏡などのレンズが嵌められた光学機器の来歴についてリサーチした作品である《The Rings of Saturn》を中心に、イギリスでの滞在を通して制作された作品群によって構成されます。それらの事物は私たちの視覚を拡張してきたものとして位置付けられ、ガラスを支持体にイメージが定着されています。また、手紙の形を借りることでイギリス滞在時の影を定着したシリーズ《Letters of Light》も展示いたします。
― 鈴木のぞみ

鈴木 のぞみ NOZOMI SUZUKI
LIGHT OF OTHER DAYS
会 場 : コートヤードHIROO 3Fガロウ 〒106-0031東京都港区⻄麻布 4-21-2
会 期 : 2022年6月3日(金) 〜  2022年6月25日(土)
時 間 : 12 : 00 〜 19 : 00
休廊日 : 日曜日
お問い合わせ先:garou@cy-hiroo.jp
https://cy-hiroo.jp/topics/gallery/archives/5921

鈴木のぞみ
1983年 埼玉県生まれ
2022年 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了

写真の原理を通して、日常の事物に宿る潜像のような記憶の顕在化を試みる作品を制作している。
主な展覧会に「The Rings of Saturn / Mirror with a Memory」(rin art association、高崎、2021)、「Unknown Image Series no.8 #02 Light of Other Days-土星の環」(void+、東京、2020)、「あした と きのう の まんなかで」(はじまりの美術館、福島、2019)、「MOTサテライト2018 秋 うごきだす物語」(清澄白河、東京、2018)「Re-colletion」(信州大学松本キャンパス/awai art center、長野、2018)「無垢と経験の写真 日本の新進作家vol.14」(東京都写真美術館、東京、2017)、「Mirrors and Windows」(表参道画廊、東京、2017)、「NEW VISION SAITAMA 5 迫り出す身体」(埼玉県立近代美術館、埼玉、2016)など。「現代美術の展望VOCA展2016」VOCA奨励賞受賞、「アートアワードトーキョー丸の内2015」フランス大使館賞受賞。平成30年度ポーラ美術振興財団在外研修員としてイギリスにて研修。作品は東京都写真美術館やアーツ前橋に収蔵されている

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